← 記事一覧に戻る

Journal of the American Chemical Societyに論文が掲載されました

2026/1/16

色素増感太陽電池(DSSC)において、銅錯体を用いた酸化還元対は、低い駆動力でも高速な色素再生が可能であり、高いエネルギー変換効率を実現しています。従来、この高速な再生速度はCu錯体の低い再配分エネルギーに起因すると考えられてきましたが、電子結合の寄与については、添加剤(tBP)や再結合反応による解析の複雑さから、実験的な評価が十分に行われていませんでした。本研究では、Cu²⁺やCo³⁺、および添加剤を除いた最小限の電解質システムを構築し、Transient Absorption測定を通じて色素の再生速度を精密に評価しました。その結果、銅錯体の高速な再生は、従来説であった低い再配向エネルギーよりも、むしろ高い電子カップリングに起因していることが判明しました。量子化学計算によっても裏付けられたこの知見から、分子構造の最適化によるさらなる性能向上の可能性が示唆されました。