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Journal of Physical Chemistry C に論文が掲載されました

2026/1/16

色素増感TiO₂電極における界面電子移動は、通常レドックス種(I⁻/I₃⁻など)の反応性によって議論されますが、電解液中のアニオン自体が速度を大きく変える可能性があります。本研究では、TiO₂に吸着した有機色素(MK-2, MK-1, MK-75)を用い、Transient Absorption測定により酸化色素の還元過程を評価しました。その結果、I⁻/I₃⁻電解液中では電子移動が遅くなる現象が観測され、遅延効果は MK-2 > MK-1 > MK-75 の順に顕著でした。これは、π共役が長い色素ほど分極率が大きく、I₃⁻が色素層近傍に濃縮しやすいことに起因すると考えられます。濃縮したI₃⁻はTiO₂中電子やI⁻を反発し、界面での衝突頻度を低下させることで、酸化色素の還元を抑制します。さらに色素吸着密度によって遅延の強さが変化することから、電解液アニオンの局所分布は電子移動だけでなくデバイス特性にも影響し得ます。本研究は、DSSC界面反応の設計において**「アニオン効果」**が重要な因子になり得ることを示しました。